過敏性腸症候群

=『陽だまり』より=



日本人の10人に1人が持つストレス病

「今はどこに行ってもトイレがどこにあるかをまず確認しておかないと・・」
緊張をしたり不安に感じたり、電車に乗っただけで条件反射の方に便意をもよおすような排便異常が横行・・。ビジネスマンを始めとして日本人の10人に1人は、程度の差こそあれ排便異常をかかえていると言われています。
下痢症状だけではなく、便秘の人、下痢と便秘を交互に繰り返す人もいます。
このような排便異常は「過敏性腸症候群」と名付けられている病気です。

この病気には4つのタイプがあります。

1.下痢型・・最も多いタイプで全体のおよそ40%を占め、男性に多い。

2.便秘型・・次に多いタイプで約30%を占め、女性に多い。

3.下痢・便秘交代型・・30%近くを占める厄介なタイプ。

4.ガス型・・2%程度と少ないが腸内にガスが溜まりオナラが多くなる。
       しかし、オナラは臭くない。他のタイプと合併することが多い。

原因は様々なストレスによる、胃や小腸、大腸の動きを調整している自律神経の乱れにあります。

排便異常になりやすい人

過敏性腸症候群は神経質、几帳面、真面目というような人、あるいは自律神経の不安定な人に多く見られます。
このような人が環境のちょっとした変化に上手く対応できなかったり、過度に反応しすぎたりしてそれが大きなストレスとなった場合に起こってくるようです。

自律神経から送られてくる信号によって腸の動き(動運動)は変わります。
動きが活発になる過ぎると、腸内の内容物(便)は早く送られて(水分が吸収されないまま)下痢になります。

便秘は、腸がケイレンを起こす場合に起こります。
ケイレンが起きると腸がぎゅっとくびれ、内容物(便) が硬くなって便秘になるわけです。
ケイレンが強いと腹痛を伴います。受動運動がゆっくりになった場合にも、内容物の水分が吸収され過ぎて便秘になります。

他の病気との違い

慢性下痢症のおよそ80%が過敏性腸症候群だったという調査報告や、病院によっては胃腸病の30〜50%を占める、驚くほど多い現代病です。

他の病気と見分けは消去法で診断されます。
下痢や便秘が続く腸のポリープやガン、甲状腺疾患などを、検査や診察で除外していきます。
さらに胃腸に原因となる身体的な病変のないことが確認されると心理面の検査(CMIや性格テストなど)で病名が決定されます。

過敏性腸症候群の身体的な症状としては、便通異常や腹痛の他に残便感、腹部不快や腹鳴などがみられます。
特徴的なのは心身的な症状を伴うことです。
頭痛、めまい、動悸、不眠、抑うつ、疲労感、発汗異常、イライラ、不安感等が現れます。
中でも睡眠障害で病院に来る約10%の人は、過敏性腸症候群が原因だと言われます。

治療では、整腸剤や精神安定剤など薬物療法はむしろ補助的です。
心療内科などでストレスに対処していく心理面での治療が必要でしょう。
通常の社会生活が送れるようになればゴールです。

患者として第一の心得は病気を良く理解することです。
良く理解をすれば、むしろ重大な病気ではなかったと気楽に気長に治療を受けられます。

日常ではまず生活リズムの確立です。
早寝早起き3度の食事。
食事内容は神経質に考えることもありませんが、腸の健康面から食物繊維と乳酸飲料を多めに摂取するのがいいでしょう。
お酒は軽い晩酌程度に、タバコ厳禁は常識です。